アガリクスの栽培 第3回みなさま、こんにちは! 第3回は培地の『殺菌』についてご説明します。 アガリクスはキノコですので、生育は菌糸の増殖によって行われます。 そのため、各種素材からつくられた培地はアガリクスの菌糸が生長しやすくするため、有害な雑菌をなくしておかなければなりません。 アガリクス栽培においては、大きく分けてサトウキビの搾り粕(バガス)や藁を原料に堆肥化した『堆肥培地』と、オガクズ・米ぬかなどを混じて成形した『菌床培地』があります。 『堆肥培地』の場合は、切り返しや空気の吹き込みで堆肥中の微生物を活性化させることによって温度を上昇させ、有害菌を死滅します。熟成された堆肥は平温に下がり使用可能な培地になります。
一方、『菌床培地』の場合は、原料素材に水を加えながら攪拌し、ちょうど良い水分量になったら、長方体に培地を成型します。そして高圧高温の殺菌装置で一旦、すべての微生物を殺菌します。
いずれもアガリクス栽培に適した素材を原料に用い、有害菌を除去したのち、培地に種菌を植えます。 ![]() 写真6.堆肥栽培の接種
![]() 写真7.菌床栽培の接種
種菌を接種後、自然環境のもとで、あるいは自然環境を再現した栽培棟で菌糸の培養を行います。 良質のアガリクスを得るにはこの『培養工程』は非常に大切で、温度、湿度、二酸化炭素濃度、光の明暗、風などが適切に調整されなければなりません。 菌糸の生長、つまり『培養』の状態は、菌床栽培のほうが観察しやすいので、菌床栽培における経時変化を例示します。 ![]() 写真8.培養初期(4日目)
![]() 写真9.培養後期(40日目)
培地全体に菌糸が蔓延してからも、菌糸に培地中の栄養素と有用成分の産生を促すため、熟成期間を十分にとります。
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